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春の養生と冬土用(2)

四季と暦

立春を過ぎた頃から桜が咲くくらいの頃、顔がほてってのぼせたようになったり、頭痛がしたり、わけもなくイライラしたり。東洋医学の考え方だと、これは勢いを増して上昇して行く自然界の陽の気に、私たちの体内の陽の気がおいつかずバランスを崩すためだと考えられています。

春先の不調に有効な自然療法はバラエティ豊かで即効性のあるものが多いのですが(またそのときがきたらご紹介しますね)、できたら体調を崩すこと自体避けたいもの。一度崩してしまうとそれを立て直すのに、無駄な時間と体力を消耗してしまいますからね。

実は、身体の免疫力や治癒力を高めたりベースアップしてくれる自然療法や東洋医学は、ことが起きてしまったときより、起きる前に予防する時の方が断然優秀に働いてくれます。いわば、先を鋭く見通して手をまわし、ビシっ!と先手を打った者の勝ち、というわけ。
かくいう私も白状すると、実は春はかなり苦手です。自然療法と出会う前は、春がちかくなるときまって全身が重だるく、むくんで疲れやすく、いつもどんよりしていました。
今日は、春の準備期間でもある土用の過ごし方のヒントをいくつかお話ししようと思います。あくまでも私が実践している実例の一部ですが、いずれも東洋医学的には理にかなった方法です。
参考にしていただけたらいいな、と思います。

身体を動かす

身体を動かすことは体内の陽の気をあげることにも繋がります。
とはいってなにも、さあ、泳ぎましょう!とか、マラソンしましょう!とかそういうのではなく、冬の間に冬眠モードになっていた身体を、気持ちのいい程度に少しずつ動かして、身を軽くして行くということ。
心身の気の状態で言えばむしろ、本格的なスポーツはこれからの季節の方が調子が出やすくなるので、今はそのためのいわばウォーミングアップの時期と考えるといいでしょう。
わざわざ運動の時間を作ることが苦手な私は、この季節頃から早めに家を出て、駅を1〜3個分を早足で歩いて出勤します。
コツはムリしないこと、自分のペースですること、楽しむこと。
だから私は、今日はだるいなあ、めんどくさいなあ、と思う日は堂々とサボります、こら・・・笑
なにがあっても毎日コツコツとやり遂げることに喜びを感じるというタイプの人もいるでしょうし、このあたりはかなり個人差があるとは思うのですが、私の場合、義務感でやるようになると途端に楽しさが半減してしまうんですよね・・・やれやれ。
それに、やらねばやらねば!と焦って結局できないと、それが逆にストレスになっていい結果をうまない気がします。

消化器系によいものを摂る

中医学ではこの消化器系の不調を現代医学以上に問題視します。
なぜなら食べることは身体をつくる基本だから!
どんなに身体によいとされるものを摂っても、胃腸がきちんと機能し栄養として身体に取り入れることができなければ、ちょっとキビしいですが、それはもう摂らないのと一緒、ということになってしまうからです。
この時期は土用の由来でもある土のエレメントに属する胃腸を整えるため、発酵食品や穀類、豆類など、体内の気を養って同時に消化に負担のないものを心がけて摂って身体の土台を整えます。
反対に油の多いものや味の濃いもの、大好きだからとても辛いのですが、春先のアレルギーのある私は激辛のものもしばらく控え目にします(辛いものとアレルギーの関係はまた別の機会にお話ししますね)。

体内の陽の気を補う食材を摂る

これは中医薬膳の考え方なのでちょっとピンとこないかもしれないのですが、体内の陽は身体を動かしたり温めたりするほか、食材からも摂ることができます。近代栄養学にはない考え方ですね。
ねぎやニラをたっぷり使ったエビ入りの卵スープはこの季節の我が家の定番です。生姜をすりおろして火からおろす直前に加えると香りもいいし温まります。
ムール貝などのシーフードを使ったブイヤベースやパエリアもこの季節はおすすめです。
またこの時期は身体が喜ぶのか、ミントやカモミールなどの香りのハーブティーがこれまでより美味しく感じられます。冬の間に停滞した体内の気を、身体がおのずと発散したがるのかもしれません。
頭痛やイライラの解消にも一役買ってくれる香りのお茶は、体内の気の流れをスムーズにするのにとても役立つので、我が家では1年を通して数種類を常備しています。

心落ち着けて過ごす

この時期は文字通り、土のようにどっしり構え、飛躍のときに備えてひたすら地味にゆったり過ごします。

できる範囲で生活を見直し(とはいえ仕事を持っていれば難しいことも多々あるのですが!)、身体を滋養し、食生活や睡眠リズムの乱れなどはなるべくいまのうちに修正して立て直しておきます。

仕事や対人面ではあまり大きなアクションを起こさずに、新しいことをはじめたり計画実行なども、できることならこの時期を避けて行うようにしています。
土のエレメントには思考を巡らせたり熟考することも含まれますから、季節が動き出してからの目標設定や下準備をしておくのもいいと思います。
私も春以降に向けていろんな構想が脳内をうごめいているのですが、春の芽吹きのエネルギーとともに立ち上がれるようにもっか綿密に温め中です。

土用=土のエレメント

ところでなぜこの節分前の移行期間のことを土用と呼ぶのでしょう。
東洋の自然哲学の考え方に、自然界のすべてのものを5つの要素に属性を持たせて考える、五行論という考え方があります。
その五行論に四季をあてはめてみると、春は樹木(木)、夏は炎(火)、秋は金属(金)、冬は水(水)とそれぞれのエレメントに分けることができます。
ところが古代の人々は1年を単純に4つの季節にきっぱり分けることをせず、それぞれの節分の前の数日間、どこの季節にも属さない移行期間ともいえる期間を設定しました。
それらがまとめてあてはめられたのが土。土用と呼ばれるのは土のエレメントに属するからです。
土のエレメントの特徴をあらわすキーワードは、調和、受容、温もり、湿り気
種子を受容し草木を育む、柔らかく、湿って、適度に温もりを帯びた母親のような土のイメージです。
そして体内で土の働きをする臓器や器官は、消化器系です。
雨が降れば静かに受け止め、土の中の栄養分と調和させ、次なる世代を繰り返し育む・・・まさに母なる大地ですね。
うーん。
五行のお話は、いますぐしたいくらい私の大好きなテーマなのですが、時間をかけてじっくり、また改めて!

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