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四季と暦

準備のための冬土用

明日1月17日から2月4日の立春にむけて、暦はいよいよ冬の土用の期間に突入します。

この時期は光が溢れ、陽の気がますます盛んになる区切りの前の重要な時期です。今日はそんな重要な冬の土用とその過ごし方についてのお話をします。

土用とは

土用とは、1年に4回訪れる季節の節目「立春」「立夏」「立秋」「立冬」の前の18日間のことです。

土用といえば有名なのは夏の土用なのですが、実は年4回、毎年それぞれの季節の転換期前に訪れます。

昔の日本ではこの土用の時期はとても重要視されていました。

土用期間中に事業や新しいことをはじめることや、土木工事などの土を動かす作業、転居や新居を購入することはすべて禁忌(タブー)とみなされ、旅行や行事なども控えて動かずじっとすることが慣わしとなっていました。

季節の大きな節目ともなるこの時期は、なにかをおこしたり動き回るより身体を整えて養生せよという意味なのではないかな、と推測します。

心身が不安定なときには判断を誤りやすくなったり、事故が起きやすくなるから、じっとおとなしくしていなさい、ということでしょうか。

いずれにせよ、いまよりずっと季節の変化や自分たちの体内のバランスについて、敏感に暮らしていたのだということがいえると思います。

さて、土用とは正しくは土旺用事(どおうようじ)といって、この時期は「土」が特に旺(さかん)になるという意味があります。

この「土」とは東洋の古典思想の五行説(この世の森羅万象すべてのものを5つの要素、木・火・土・行・水の属性にあてはめて考える思想)の中の土の行をさし、「土がさかんになる」とは土の行の特性が強まるということを意味しています。

土の行の特徴

さて、では土の特性とはなんでしょうか。

ちょっとここで土をイメージしてみましょう。都会の生活ではなかなか土に触れることは少なくなってしまったと思いますが、肥沃(ひよく)な畑の土を思い出してみてください。

土の象徴としては、母なる大地に象徴されるように、揺るがないこと、包容すること、受容すること、慈しむこと、種を受容しエネルギーを与え新たなものへ転化させていくこと、などがあります。

そして適度な湿り気も重要です。乾いてかちかちになった土には、種子を受け取り育む余裕はちょっとないですよね。

東洋医学の考え方だと、この五行は私たちの身体の機能や精神活動にも属性を持っています。

土の管轄する身体の機能は消化器系の働きと思考活動。

土のはたらきは身体のこれらの活動に相互的に影響を与えるとされています。

皆さんにも考えすぎて胃が痛くなったりお腹を壊したりした経験はありませんか?

悩み事をかかえて食欲をなくしたことはありませんか?

さらに胃腸は食物を受諾するという働きのほかに、ものごとを受け取り理解する、という働きとも関係しています。

どうしても納得できないことを「腑に落ちない」と言ったりしますが、この「腑」とは内臓のことをしめしているのです。日本語はよくできているなあ、と感心しますね。

思考はなにも頭だけの働きではなく、私たちは内臓で受け取り身体の様々なところで反応をしているのです。

さて、ではこの土の特性を踏まえて、この土用の期間になぜ体調を整える必要があるのかご説明しますね。

特に私はこの冬土用を四季の土用の中でもだいぶ特別視していまして、理由は立春を界に陽の気がさらに勢いを増してくるからです。立春は太陽の力が陰を極める冬至からみて、最初に訪れる大きな区切りのイベントです。

とはいえまだ太陽は陽の気を帯び始めたばかり。陰のエネルギーの力の方がまだ強いため、この季節の陽の気は上昇するためのパワーがとても強いんです。言うなればギアをローに入れてぐん!と上がるイメージ。

いままで穏やかな陰の気に満ちていたところに大きな別の力が加わると、そこに大きなエネルギーのアンバランスが生じます。それが春先の鬱っぽさやほてり、頭痛を引き起こす原因となったり、自然界では雨が降りやすくなったり風が強く吹いたりするようになります。

その大きな節目に向けて心身健やかに備えるために、立春の前の18日間はとても重要なのです。

心身を整え準備をする

外界の陽の気に体内がついていけないことで起こる体調不良は、体内に陽の気を蓄えることで補うことができます。

具体的にはまず、土の管轄でもある胃腸を整えること。さらに冬の間に頑張って働いてくれた腎気を補って、身体を温めて過ごします。よく食べよく眠り、やりたいことだけをやってしっかり体力を蓄えます。

「土用なんて知ったことですか。私はいまこそ動く準備が整ったのです!」という方は、ご自身のタイミングでどんどん進んでいいと思います。チャンスはひとりひとり訪れるタイミングがあるのですから、ぜひその機会を生かしていただきたいと思います。

でもそうでないのなら、いまはどちらかといえば心身を調整して準備を整えるとき。

土のエネルギーが旺盛になっているこの時期こそ、これまでコツコツと積み重ねてきたことをじっくりと熟成させ、新しいエネルギーへと転化させるのに最適な時期といえるでしょう。

私も自分の肉体と内側にフォーカスし、ますます勢いを増して上昇する陽のエネルギーにするんと乗っていけるように備えつつ、母なる大地のようにどっしりと構えて過ごしたいと思います。

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