私は何をどう食べたらよいのでしょう、というご質問をよくいただきます。
巷には「健康」に関する情報が、もはや氾濫しているといってもいいほど溢れています。
様々な専門家が多種多様の立場や見地から情報を発信しており、そしてその情報の多さになにを信じたらよいのかわからなくなっている人も多いようです。
そうしたご相談をいただいたときは、私はまず中医薬膳学のプロフェッショナルとして、中医学の見地に立ってお話をします。
具体的には「その方の特異性と体質を見極め、目的やお悩み、症状の改善に適した食材や調理法を、献立とともにアドバイス差し上げる」やり方です。
私はその方法の有効性を理解して信頼し、こうやって実践しているわけですが、しかし中立的な立場から見れば、それもまたあまたある健康法のひとつにすぎません。
ひとつ覚えておいていただきたいのは、ある特定の食材や健康法がよい、もしくは悪い、という縦割りは、視点をどこに置いて語るかでまったく意味が変わってくるということです。
ですからなにか新しい情報を手にした時は、まず客観的に眺め、それから自分の経験や知識と照らし合わせ、さらにそのバックグラウンドも考慮して総合的に判断する、ということをおすすめしたいです。
いちばんやっていただきたくないのが、情報の断片的な聞きかじりです。
情報発信元のバックグラウンドを把握することなく、これが身体によい、あれは身体に悪い、という最終論調だけを寄せ集めてそらんじているだけでは、矛盾だらけの健康法のいっちょあがりぃ!にしかなりません。
しかしよいわるいの二元論で食べ物を語る前に、エネルギーワーカーとしてはぜひお話ししたいことがあります。
肉体を愛する意識
神聖なるスピリットの乗り物である肉体を健康に保とうとする意識はとても素晴らしいのですが、私たちの肉体は単なる分子の集合体ではありません。
私が常々「なにを食べるかよりも重要なのは、いかに食べるかの方です、びしぃっ!」と、しつこく申し上げるのはそのためなのですが、食事という行為は単なるタンパク質や糖質、ビタミン、ミネラルなどの摂取ではないということをまず考えてみてください。
食べ物を口に入れる時、私たちは食材の栄養素のみならずそのエネルギーそのものをいただいています。
そしてまたこのときの意識の在り方が、食事という素晴らしいエネルギーワークの質を大きく左右します。
中医学には「医食同源」という表現があり、それはしばしば「私たちの肉体は私たちの食べるものによって成り立っている」と説明されます。
しかし私はその言葉の裏には単に「私たちの肉体は食べるものからできている」以上の意味を持つと解釈しています。
口から入った食べ物は、中医学では 脾 という臓器で処理されます。
脾は肉体に取り入れられた食物の流れはもちろん気血水の流れも統括し、さらに精神活動では意思を司るエネルギーセンター、鳩尾のあたり、ちょうど第3チャクラに位置します。
つまり消化活動と意図の働きは、切っても切れない関係性にあるということです。
私たちの健康は私たちの食べるもので作られているだけでなく、日頃考えていることや口にする言葉などにも常に影響を受けているのだということが言えると思います。
健康のために何を食べるかに意識的になるのであれば、同時に何を考えていかに行動し、どんな言葉を口にするかにも、同じくらい意識的になる必要があると思うのです。
わたくしごとではありますが、私は自分が口にする食べ物に関する制限を、基本的には一切設けていません。
これは私が丈夫で健やかな肉体を持って生まれてきたからこそできることではあるのですが、だからこそありがたく、「心身が健やかで心地よく感じられている時ならば、食べ物として口にすることができるものならなにを食べてもOK」と許可しています。
[chat face=”081807.png” name=”” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]食餌を制限することは稀にありますが、それは体調に不具合があるときや、調子に乗って食べ過ぎた時、その他なんらかの目的があるときです。[/chat]
そして食べることができる幸せに感謝し、目の前の食べ物に気持ちを注いでいただきます。
特定の食材をジャッジメンタルな意識で捉えることに居心地の良さを感じないと言うのもひとつですが、なにより「ここに美味しくいただける食べ物がある」ということがありがたいからです。
そして結局またこのお話に戻ってくるのですが、やはり自分にとって価値のあるものを見極める力を放棄してはならないと思います。
自分自身を信頼し、その力を磨き使いこなしていくことが、わたしたちひとりひとりの人生をより豊かなものにしていくのだと思うのです。
https://pranaromana.jp/2018/09/28/centerofmyself/