自分自身の
本当の姿を思い出す旅へ
陰陽五行論

暑さと火の関係

東京では一気に気温が上がって夏日を記録した日。

長野の実家からすぐの、田んぼと川と森と山と空のショットです。

初夏のようにも見えますが、川沿いの土手の木々のまっくろな影が、真夏の日射しの強さをくっきりと表しています。

台風の前触れの強い風が、青々と茂る田んぼを波立たせながらくるくると舞っていました。

私が生まれるもっとずっと前から変わらず同じ景色。

子供の頃の遊び場で、学校の登下校も舗装された道を歩かず、わざと土手道を歩いたりしていました。

あんなに当たり前にあったのに、そしていまもここに住む私の家族にとっては当たり前の景色なのに、夏の太陽のせいでしょうか、なんだか無性にありがたく愛おしく思えて心が震えました。

バイクの免許を取ってからは、この景色を縦断するひたすらまっすぐな道路を疾走するのが夏の楽しみのひとつでした。

聞こえてくるのは愛機のエンジン音と風の音だけ。

肉体も精神も風にちぎれて空中にとけていくような、あの「こちら側」な感覚は、このさきもずっと、多分おばあちゃんになっても鮮明によみがえるんだろうな、と思います。

近年、街に近い方から田んぼが潰されて大型のドラッグストアやスーパーが次々と建てられています。

民家もぽつぽつと増え始め、田んぼをじわじわと飲み込むように街の波が少しずつ広がっています。

山里の人口が増えて地元が活性するのは喜ばしいけれど、やっぱりここがいつまでもこのままだったらいいな、と、もうずいぶん長いこと離れて暮らしているくせに、勝手なことを思ってしまいます。

と・・・

この景色をシェアしたくて、私のふるさとをご紹介しました。
長々とおつきあいくださりありがとうございます。

では本題にはりいます。

ときはいよいよ夏まっさかり。

来週木曜日には二十四節気のうちでもっとも暑いとされる、大暑を迎えますね!

暑邪と心気

中医学の考えでは、適度な暑さは体内の五行バランスのうち、火のエネルギー(心気)を活性化させるといいます。

私の感覚では、血気が旺盛に循環し思考が冴えて気持ちも少しハイパーに傾く感じです。

また、舌が滑らかになりペラペラとよく喋るのも火のはたらきの特徴とされています。

思考も冴えて頭もくるくるとよく回りますから、言葉がサラサラと溢れとめどがありません。

実は、ここ数日の私がまさにそれ。

さすがに「クライアントを片っ端からとっつかまえてペラペラ喋る」ようなことはありませんが、プライベートの時間となると「私ってこんなに喋る人だっけ?」と自分でも呆れてしまうくらい、よく口が回っています。

普段わりと物静かな人が、この時期急に面白いことを言ったり、陽気におしゃべりするようになったら、火のエネルギーが旺盛になっているのかもしれません。

ただし、これも暑さの程度が適度であることが条件。

暑すぎる、また長引く過度の暑さは、これら火の働きを逆に抑制させ鈍らせる方向へすすみます。

例えば、暑さからくるイライラ。

まずはこのイラストを見てください。

本来であれば、体内の熱は体内の水分(津液)によって冷やされ、適度にコントロールされています。

水分コントロールは、厳密に言えば五行すべてが関わるのですが、大まかにいうと水(腎気)の管轄。

ところが暑さで熱が過剰にヒートアップしてしまうと水が熱を冷ます力が追いつかなくなり、火の気が滞り沸々とフラストレーションがたまってきます。

また処理しきれなくなった熱にやられて体内の水分自体が少なくなるため、いわゆる脱水状態に陥りやすく、粘膜や皮膚が乾いて、さらに吹き出物などの炎症も起こりやすくなります。

さらに心気が衰えることで気力が衰えたり、また睡眠の質も低下します。

いずれも夏バテをはじめとした夏の諸症状に共通していますね。

五行は互いにバランスを取り合っていますから、火の気がヒートアップすれば、火と親子関係にある土の働きにも影響が出てきます。

イメージとしては、火の暴走によって土がからからに乾涸びてしまうようなものです。

こうなってしまうと土は、本来のはたらきを発揮することができません。暑さと胃腸の関係

では、土のはたらきはなにかというと・・・

土のエネルギーは「脾気」、おもに胃腸などの消化活動を統括しています。

暑さで火が暴走した結果として土の働きが弱まり(脾気が下がり)、食欲がなくなる、お腹を壊しやすくなる、といった消化器系の不具合が発生しやすくなるというわけです。

また、脾気の巡りは体中の水分の巡りにも関係するほか、脾気の特性でもある「物質を上に持ち上げる作用」が低下することで、下半身、特に膝から下のむくみなども起こりやすくなります。

暑くて上半身はほてるのに、足元だけが異様にスースーして寒々しいというようなときは、脾気の巡りの悪さも関係しているかもしれません。

加えて、湿度の高い日本の夏。

暑さ(暑邪)にあわせて湿気(湿邪)も同時に身体に入り込むため、身体や頭がだるく重い、身体に痛みを感じる、傷などが治りづらいなどの湿邪特有の不具合などもでてきます。

では、バランスを崩してしまった五行の関係を、もとどおり釣り合いの取れた関係に修復するにはどうしたらいいのでしょうか。

方法としては、薬を飲む(漢方薬)、鍼やお灸で治療する(鍼灸)、食べ物で改善する(薬膳)などがあります。

この中で自宅でもできる薬膳の考え方に基づいて、次回は、食べる物の工夫で養生する方法についてお話しをしようと思います。