午前中のお仕事を終えてひと休みしていたら、ラジオから絵本作家の加古里子(かこさとし)氏の訃報をしらせるニュースが飛び込んできました。
数々の絵本を通して、幼かった私の興味を宇宙へとかきたててくれたのですが、先生ご本人が宇宙へお帰りになられるときがきたのですね。
今年の1月にも新刊を何冊か出されたばかりでしたし、まだまだ書きたいものがあるのだと精力的に創作活動を続けていらっしゃると報じられていましたので、今後の活躍にも大いに期待を寄せておりました。
このさき加古里子さんの創られる新しい作品を見ることができなくなるのはとても残念ですが、遺された数々の名作は、この先もずっとずっと子供達に愛されて、夢を繋いで引き継がれていくのだと思うと嬉しくなりますね。
さて、加古里子さんといえば。
特徴的な挿絵と優しい文章が大好きで、だるまちゃんと天狗ちゃんシリーズなど、書かれた本はどれもが大のお気に入りなのですが、私にとってのいちばんのお気に入りは・・・
なんといってもこれ! 宇宙!
大好きで大好きで、見開きページをバーンと広げて、飽きもせずに眺めたものです。
そして大人になってからも、なんどもなんども手に取り続けました。
この本が扱うのは実に大きなテーマですが、視点を丁寧に、蚤の小ささからはじまり、私たち人類の肉体の素晴らしさに触れ、音の壁を超え、人類の創造物を超え、重力を超え、太陽系を超え、銀河系を超え、やがて宇宙の果てにまで拡大させていきます。
まさに身近なところから広がっている宇宙。
そんな丁寧な視点で描いているからこそ、自分自身もこの広大な自然と一体であるし、また大きな宇宙の一部なのだと実感させてくれます。
いまこうしてあらためて目を通して見ると、私がこれほどまでに宇宙に思いを馳せるのも、科学が大好きなのも、ああそうか、原点はここにあったのだと気づかされました。
いや、もしかしたらもうタネはすでに私の中にあって、この本がそこを強く刺激したのかもしれないです。
この絵本の最後のページの文章に、加古里子さんの人類や地球、宇宙に対する愛がにじみ出ていて、いまあらためてグッと受け止めています。
この おおきな うちゅうは にんげんが はたらいたり かんがえたり たのしんだり するところです。
この ひろい うちゅうが あなたの かつやくするところです。【加古里子(1978))『宇宙 ーそのひろがりをしろうー』福音館書店】