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夏の終わりの信州

セラピストライフ

子どもの頃から国内外問わずに移動が多く、いまでも日帰り旅行を含めるとかなりの旅をしています。

ここでもたまーに旅の写真などアップしたりもしていて「もっと旅行記を見た〜い!」という声もたくさんいただくのですが、スローペースの更新ではまともに追いつかず。いつもなんとなく流れていってしまうのですが、今日は先日の旅行記でも。

中央アルプス千畳敷カール

この地点で標高2600メートル。高い山なのですが、ここまでバスとロープウェイを乗り継いでほんの40分ほどで誰でもゆくことができます。

この高さの山で、こんな手軽に楽しめる場所って全国でも他にないんですって。

遠くにちょこんと富士山が顔を覗かせているのが見えます。ここより1000メートル以上高い山なのに、見下ろすように見えるのは地球が丸いからかしら。

気温は13度。前日まで横浜の湿気で辟易としていた身体に乾いた冷たい風が心地よく、気持ちは天国でした。

[chat face=”081807.png” name=”” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]実はこれはまさにケンミンショー案件なのですが、長野県の中学生は夏になると課外授業で2000メートル級の山に登山をするんです。
私も中学2年生のとき大きなリュックサックを担いでこの山に麓から足で登り、山小屋で一泊し、翌朝ご来光を拝んで下山しました。中学生ならみなやるのだと思い込んでいたのですが、これって長野県だけなんですってね。つい数年前にテレビで知ってびっくりしました。[/chat]

ちなみにこれが紅葉の季節の千畳敷カール。

カールという名前の通り、まあるいお椀型をした窪地で、2万年前に氷河期の氷で削り取られてできた形なんです。

富士山の五合目(標高2400メートルほど)に行くとなんだか押し付けられるように身体が重たくなってクラクラしてしまう私ですが、この地点は富士山の五合目よりも高いにも関わらず、平地とほぼ変わらず楽に過ごせるのが不思議です。

下山後はボリューム満点!
駒ケ根名物の「ソースカツ丼」を。

よそからの知人や友人を同伴する場合は、私も観光客気分でおつきあいします。

[chat face=”081807.png” name=”” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]ソースカツ丼をご存知ない方にご説明すると、ご飯の上にこんもりと千切りのキャベツを盛りつけ、その上に甘めのソースに「ヅケ状態」になったトンカツを豪快に乗せたものをソースカツ丼といいます。南信州ほか福井県などでも食されていて、どちらが本家かたびたび論争になるとかならないとか。[/chat]

満腹後、次に向かった先は戸隠高原。

ここ数年、夏は必ずいちどは戸隠で過ごすのが定番となっていますが、今年は今回がはじめて。

おなじみの宿でゆったり旅の疲れを癒したら、翌朝早いので夜は早々に就寝です。なぜって、戸隠はなにしろ朝がよいのです。

夜半過ぎにまるで浄化の雨のように、予報にもなかった土砂降りの雨がやってきました。行く先々で雨と縁のある私たちです。

[chat face=”081807.png” name=”” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]戸隠を旅される方の中には長野や松本の市街地に宿を取り、朝食後に山を上がってくるパターンが多いようですが(行楽シーズンは朝8時頃から戸隠周辺で渋滞が始まります)戸隠を目指されるのなら、ぜひ山の中でゆったり一晩過ごされることをおすすめしたいです。[/chat]

翌朝向かうのは、奥社の森。

まだ誰もいない薄暗い駐車場に車を止め、トレッキングブーツに履き替えて身支度を整え日の出を待ちます。

日中は有料で常に満車となるこの駐車場も、この時間は誰もいないので自由に停めることができるんです。

身支度のほかに忘れてはならないのがクマ鈴。

宿のご主人の話では、ここ数年は真昼間の観光地にもクマさんが出てくるようで、どこそこで大きなクマと会ったとか、この間会ったのは子グマで可愛かったとか、毎朝食堂ではクマさんの話題でもちきりです。

私も実は数年前に早朝の森の中でクマさんと遭遇しかけたことがありました。そのときはあちらが気づいて距離を取ってくださったため、真正面から「こんにちは!」となることはなかったのですが、以後、クマさんたちと私たちお互いのために忘れずに鈴を持つことにしています。

特に早朝の森の中とあっては、朝食どきのクマさんのテリトリーにずかずかと侵入するわけですから最低限のマナーとして。

すでに日は上っていますが、九頭龍社に続く参道はまだ森のもの。ひっそりと静まり返っています。

夜の気配がいまだ色濃く漂っていて、日中はきっぱりと分かれている参道と森の境界線も、曖昧でぼんやりとしています。

自然に対する畏怖の念がいわずと湧き上がります。森と存在に挨拶をして、静寂を破ってすすみます。

奥社までは約2キロ、徒歩で30分足らず。
まだ薄暗い森の息吹を感じつつ歩きます。

頭上では、前の晩に降った浄化の雨の雫が葉っぱに落ちるポタッ、ポタッというかわいらしい音がずっと聞こえていました。それが傘を鳴らす雨の雫のようで、はじめて聞く水の音とともにしばらく歩きました。

やがて雫の音が聞こえなくなる頃、朝の気配を感じた鳥たちがさえずりはじめ・・・

鳥居から1キロほど歩いた中間地点にある随神門についた頃には、だいぶ明るくなっていました。

ここまでくるとほっとひと安心。諸々の緊張感を解くことができます。

さらにこの門をくぐると参道の様子はガラリと変わります。

あれれ、でもなんだか知ってる感じと違います。明るさや居心地の良さは変わらないのですが、これまでよりも数段軽い明るさを感じました。

なんだか北米の森を歩くような・・・

例年ですと、同じような早朝に歩く人たちで境内はそこそこ賑わうのですが、今回は不思議なことに貸切状態でした。こういうことってよくありますね。きっと目に見えない門があるのだと思います。そしてそれが自然の采配でぱかぱかと閉じたり開いたりしていて、然るべきタイミングで、出たり入ったりするようになっているように感じます。

奥社と九頭竜神社に20〜30分をかけてゆっくりお詣りし終えた頃、ちょうど次の早朝組の方々が上がってきました。次の方の番が来たようなので脇へ譲ります。

今年は雲ひとつない青空にしっかりと戸隠の山が顔を見せてくれました。

早朝のウォーキングをお勧めするもうひとつの理由が、これ。

キラッキラの朝日が朝もやを照らして作る、美しい光の筋を見ながら帰れることです。復路でしか見ることはできません。

毎年同じような季節の似たような時間に歩いていますが、この光も一期一会。同じ光に会うことは2度となく、そのときそのとき一瞬の光の動きを息を飲んで見守ります。

往路はちぢこまりながら歩いた門の手前側の森(あちら側)にも、眩しいほどの明るい光が差し込んでいました。

中社の三本杉のうちのおひとかた。

幹に抱きついて片耳をくっつけて耳をすますと・・・聞こえてくるのは、自分の心臓の鼓動です。

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