勉強会、「香りを味わう!五感で感じるアロマセラピー」の報告です。
精油にはいわゆる薬理効果に着目した化学的なアプローチと、嗅覚をはじめとした五感、広くはひとの潜在意識に対する効果に着目したアーティスティックなアプローチがあります。
今回のワークショップでは精油の持つアーティスティックな側面に着目。
つまりとにかく香りを楽しむこと!味わいつくすこと。
精油の能書きや理屈は出回っている書籍を参照してもらうとして、香りを嗅ぐことで身体に起きる様々な作用について理解を深め、実際にその香りで自分の身体がどのように反応するか、それぞれ実体験としてじっくり味わってもらうことにフォーカスしました。
さらに、同じ名前の香りでも成分が異なるとまったく違う香りになること、メーカーやブランドによっての個性を実際に4つの異なるブランドの香りを嗅ぎ比べてもらいながらそれぞれ感想をシェアしあいました。
まさに香り三昧!
ひとつの精油の香りから受け取る印象はひとそれぞれです。
特定の香りを嗅ぐことによって、ある人は特定の色が見えたり、私のように聴覚が反応したかのように香りにのって音が聞こえる人、あたたかさや冷たさを感じる人、景色やビジョンのようなものを見る人も。
また、いわゆるリラックスする香りといわれる精油でも、受け取る人によって、高揚し元気が漲るような気持ちを味わう人、とろんと両瞼が重くなるような人、まったく真逆の反応をすることもあります。
それらは数字やデータでは表しきることができないし、もちろん正解もありません。それをたっぷりと時間をとって、自分個人のものとして受け入れじっくり味わうということをしてもらいました。
具体的な進め方は、参加者には紙とペンを用意してもらい、1〜8の番号を振ったムエットで8種類の精油の香りを順番に嗅いでもらいます。精油の名前を伏せたのは、精油を印象づける情報を排除し、まっさらな感覚のみで香りを堪能してもらうためです。
香りを嗅いだらそのひとつひとつについて、香りから受け取る印象を手元の紙に書き込んでいきます。揮発性の強い精油の香りが変化する様を楽しんでもいいし、右の鼻孔と左の鼻孔で嗅いだ感じの微細な変化なども遊んでもらいました。
作業が始まると同時に静まり返った室内で遊ぶ香りの世界。薄く開けた窓からは、ビルの隙間を縫ってぼんやりと差し込んでくる遠い街のざわめき。そんな雑多な騒音すらも穏やかに聞こえてくるような、なんだかとってもゆったりした気持ちのいい時間でした。
さて。
たっぷりと時間をかけて8つの香りを味わったあとシェアしてみると、参加者からは様々な反応が報告されました。
香りによって異なる色が見えた方、味覚を感じた方、それから面白い、と思ったのが、図形を感じた(見えた?)という方!
実際にメモをとった紙を見せてもらうと、それぞれの香りを嗅いだときに感じたかわいらしい図形が、フリーハンドで描かれていました。なかには左右にぎざぎざのついた、まるでクリスマスツリーのようなシルエットのようなものまで!
また、意外だったのが「これまで好みだと思っていた香りが実は香りだけ嗅いでみたらあまり心地よいと感じなかった」という方の結果。いかに私たちが感情や情報(高価であるとか、稀少であるとか)によって嗜好的な付加価値をつけて判断しているか、ということを表しているようでとても興味深いと感じました。
そのように頭で考えた付加価値も、アロマセラピーの効果を引き出すひとつのファクターなのですね。
さらに私を驚かせたのは、香りから受ける印象(今回は「甘さ」と「辛さ」、「高揚」と「鎮静」を4つの軸として、香りのマップを作成してもらいました)が、見事なほどに個々バラバラだったこと!香りの認識の個人差についてはある程度の予想はしていましたが、マップという目に見える形で視覚化してみると、改めてそのバラエティの豊かさに驚かされました。
ほんとうに、ほんとうに、香りに対する反応はパーソナルなんだなあ、と、想像していた以上に私も学ぶことが多い会でした。
限られた時間の中でお伝えできることはほんとうにわずかなのですが、これからも自分の感覚を頼りに香りで遊ぶ、という提案は続けていきたいと考えています。
参加者のみなさんにとっても、今後の精油との向き合い方のヒントになれば、と願っています。