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アロマセラピー

精油は赤ちゃんに使うのはどうしてNGなの?使える精油はあるの?

プラーナロマーナの活動としてサロンでのセッションを行う一方で、マタニティセンターの専属アロマセラピストとして出産直後のママさんたちの産後トリートメントも行なっています。

そこでの精油の使用はいわゆる科学的根拠に基づいた「クリニカルアロマセラピー」の部類に属するもので、通常私がサロンでエネルギーワークなどで使用している方法とはまったく違ったアプローチで精油を扱います。

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世間で言うところの「アロマセラピー」は、こういった使い方の方が主流で、きっとこのブログの読者の方もそちらの方がずっと馴染みがあるかもしれませんね。

今日はあえて「クリニカルアロマセラピー」の観点から、精油と新生児の関係について書いてみます。

入院中の新米ママさんたちによくいただく質問に「赤ちゃんにも精油は使えますか?」というものがあります。

こんなに心地いいのだから、赤ちゃんにもぜひ使ってあげたい!という気持ちでしょうか。

そのほかにも「何歳からなら安心して使えますか?」とか「赤ちゃんにおすすめの香りは何ですか?」というご質問もいただくことが多いです。

今日はちょっと難しいテーマですが、そのあたりのお話をしてみようと思います。

考えることの重要性が問われる話題ですし、明確な結論に落とし込むことの難しい問題です。

数字で割り切れるような明確な答えをすぐに知りたい!という方はもしかしたらいっそうモヤモヤするだけかもしれません。

でもとても大事なことなので、精油に携わるものとしてこれだけは!と思うことをまとめてみます。

実は精油使用の是非については明確なルールがない

私がアロマセラピストとしての認定を受けた、英国の「国際プロフェッショナルアロマセラピスト連盟(IFPA:International Federation of Professional Aromatherapists)」では、その基本的活動理念に基づいて、セラピストひとりひとりに対し「個々のクライアントに対してホリスティックにアプローチする」ということを徹底して教育しています。

つまり精油を使おうとする場合はそのクライアント(この場合は赤ちゃん)にとって何が危険で何が安全なのか、どのようなケアがそのクライアントには最適なのか、アロマセラピー以外の可能性も含めて検討するべき、ということです。

実は意外に思われるかもしれないのですが、赤ちゃんに対する精油使用の是非は、専門家の間でも意見が別れていて、何ヶ月、何歳から使ってよい、などと明確に定めたものはないんです。

赤ちゃんの嗅覚発達を精油が阻害するのか、について

人間は五感で危険察知のための情報収拾を行っており、嗅覚もその重要な役割を果たしています。

嗅覚は赤ちゃんの成長発育においても担う役割は大きく、お母さんの乳房や身体の匂いを嗅ぐことで安心感を得るばかりでなく、この世界でなにが危険でなにが安心できるのかを嗅覚を通して学んでいるといいます。

専門家の中には「アロマセラピーなどで余計な香りを嗅がせることは、赤ちゃんの嗅覚の発達を阻害するのではないか」という意見があります。

でも余計な香りってなんでしょう??

香りは日常生活のありとあらゆるところに溢れています。台所の匂い、食材の匂い、洗剤や消毒液の匂い、人の体臭・・・挙げだしたらキリがありません。

実は赤ちゃんが本能を直接的に刺激してくるお母さんの匂いと、外的な刺激である外部からの匂いをどこまで区別しているかは、いまの研究段階ではまだはっきりとはわかっていないそうです。

なにが嗅覚の発達に必要な匂いで何が余計な匂いなのか、そんな線引きも明確にされていないままに、精油だけを特別視するのはなんだかおかしい気がします。

書籍やウェブサイトを見ていると思うのが、精油の危険性ばかりを取り上げてヒステリックに注目を集めている記事があまりにも多いな、ということです。

私はその記事が、「アロマセラピー = 危険」というレッテルを貼りたいがために書かれているのではないかと思うことすらあります。

精油はその使い方を間違えれば、重大な危機に繋がりかねない危険性を孕んでいることは事実です。

その危険性を十分理解した上で、怖がるのなら正しく怖がる、ということの重要性をここであらためてお伝えしておきたいと思います。

ちなみに日本で最大級のアロマセラピーの団体「公益社団法人 日本アロマ環境協会」のウェブサイトには以下のように記載されています。

子どもの場合

  • 3歳未満の乳児・幼児には、芳香浴法以外は行わないようにしましょう。
  • 3歳以上の子どもでも、精油の使用量は、成人の使用量の10 分の1程度から始め、多くても2分の1の程度とし、使用にあたっては十分に注意を払いましょう。

長年にわたって日本のアロマセラピーの振興と普及にあたってきた歴史ある協会です。

何を信じたらいいのか基準がないとやっぱり不安という方は、こういったガイドラインにとりあえず沿っておく、というのも1つの選択肢になるのではと思います。

何を使うか、ではなくなぜ使いたいのか

よく聞かれる「赤ちゃんにおすすめの香りはなんですか?」という質問に対しては、私はどうお答えしたらいいのかわからなくなります。ママが精油に何を求めているのかが、わからないからです。

書籍などには妊産婦に使える精油のリストと同じように、「赤ちゃんに使える精油」のリストが掲載されていることがあります。

しかしその精油がなぜ安心して使えるのか理由や根拠を明確にしているものは、ほとんど見たことがありません。

そうした理由からも、赤ちゃんに安全と書かれた精油の名前だけをみて安心し、いい香りだから、赤ちゃんにも使ってあげたいから、という思いだけで手に取られるのはどうかな、と思うのが私の意見です。

どんな精油を何を目的に使おうとするのか、そしてそれはほんとうに精油でなければならないのか。

精油を手に取る前に一度考えていただきたいな、と思うのです。

驚異のハンドパワー! タッチの力。

ちょっと話は脇にそれるのですが、ここで精油より素晴らしいケアについてお話をしてみたいと思います。

赤ちゃんは不安や恐怖を訴えるために泣くことがあります。

もしあなたがママでそんな我が子の不安を和らげるためにアロマの力を借りたいのだとすれば、そんなときにはママにしか発揮することのできない偉大な癒しのパワーが使えます。

それは触れること「タッチセラピー」の力です。

産後のタッチはママと赤ちゃんの心を支える

出産後すぐ状態が悪化し赤ちゃんと離れ離れにならなければならなくなったママたちが、うつ状態になったり無気力になったりすることはよく知られています。

私が出入りしているマタニティセンターでも、赤ちゃんが搬送されたりして一緒にいられなくなったママに対しては、スタッフが細心の注意を払って互いに情報共有しながら手厚いサポートをしています。

そしてそういったママたちの心のケアをするために、私たちセラピストが病室に派遣されることもあります。

それほど産後のママにとって我が子と触れ合う時間というのは、単に赤ちゃんの安全を守るという以上の意味を持つのですね。

赤ちゃんにとっても、触れられること、それから自ら触れるという感覚は、情緒の安定に大きく関わることです。

みなさんもきっと赤ちゃんが手をいっぱいに伸ばして、ママの顔や耳に触ろうとしているところをご覧になったことがあると思います。

赤ちゃんとママとの絆作りには、まず「触れる」という行為がとても大きな意味を持ちます。

触れることでお互いに安心しあい、温かさを共有し、心を通わせます。

それはよくいわれる単なるコミュニケーション以上のものです。

たとえここに目の覚めるような芳醇な香りをたたえた貴重で高価な精油があったとしても、愛に満ちたママの優しいタッチにかなうものなんてないと断言できます。

ベビーケアでよく使われる精油成分

さて、以上のことを踏まえた上で、ベビーケアにもよく使われているオイルに入っている比較的刺激の少ない成分について触れてみます。

以下のものが比較的刺激が少なく安全性が高いといわれているものです。

  • テルペン類
  • アルコール類
  • エステル類

これらに分類される成分を多く含む精油で、なおかつ刺激性の成分を含まない精油が比較的安心して使える精油ということになります。

またこれらの成分は、一般的に精油の使用には注意が必要とされる妊産婦や、身体の弱ったお年寄り、肌の弱い人にも比較的使いやすい成分です。

反対に、以下の成分を含む精油は使用を避けるか、使うときには十分に注意が必要なものです。

  • フェノール類
  • アルデヒド類
  • ケトン類
  • オキサイド類
  • ラクトン類

そして上の成分を含み、下の成分を含まないという条件に該当することの多い精油を一部挙げてみます。

繰り返しになりますが、条件に該当しているからといって、それがすぐさま安全に使える精油ではない、ということはこれまで長々と書いている通りです。

同じ名前の精油でも、会社、メーカー、産地、採れた年で精油の成分はすべて異なる、ということも理由のひとつです。

  • グレープフルーツCitrus paradisi
  • ラベンダー Lavandula angustifolia
  • スイートオレンジCitrus sinensis
  • ティートリー Melaleuca alternifolia
  • ネロリ Citrus aurantium
  • パルマローザ Cymbopogon martini
  • フランキンセンス Boswellia carterii
  • マンダリン Citrus reticulata

迷うのなら使わない決断を

これは赤ちゃん、妊婦さん、もちろん健康な人であっても、精油を使用しようとするすべてのケースにいえることですが、迷うなら使わない、ということに尽きると思います。

繰り返しになりますが、迷う時ほど考えて欲しいのです。

なぜそれを使うのか、どうして使いたいのか、それは精油でないとだめなのか。

そして精油をクリニカルな目的で使いたいのであれば、ぜひいつでも相談ができるかかりつけのプロを探してください。そのために認定されたアロマセラピストがいます。

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