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私の愉しみ

セラピストライフ

1998年頃出版された書籍、前田京子著「お風呂の愉しみ(飛鳥新社)」。

安心できるお気に入りのものたちとのバスタイムの過ごし方が著者の品のよい言葉遣いで丁寧に紹介されており、読むだけでゆるゆると肩のチカラが抜けていくような、そんな不思議な力を持った本です。

その中でページを割いて紹介されていた、植物性油脂と苛性ソーダを反応させて作るコールドプロセスソープ。

優しい語り口で綴られるせっけんの魅力について読み進むうち、いてもたってもいられなくなった私は、自分でも材料を揃えてせっけん作りに取りかかりました。

自宅のキッチンで作る自家製ソープは、期待していた以上のプレゼントを私にもたらしてくれました。一番の収穫は、思春期からずーっと悩みのタネだった憎らしい肌荒れが、せっけんを使うにつれてすっかり落ち着いてしまったことです。

そればかりかいつしか肌や髪ツヤを褒めてもらえるようになり、それはそれまでの私には考えられないことでした。

10代、20代前半の頃のいちばん綺麗なはずの時期にすらそんなこと一度も言われたことなかったのに、たったせっけんを変えただけでこれほどまでか、と。

コンプレックスだった肌荒れをなんとかしたい一心で、様々な化粧品をひたすらジプシーしていたのは(そしてそのためにお金もたくさん使いました)あれは一体なんだったのかと思いました。

そんなわけで、一時期はせっけんの魅力に夢中になるあまり、お掃除はもちろん、洗顔、シャンプー、洗濯、歯磨きから食器洗いまで、家中の洗剤という洗剤がすべて自家製のせっけんに取って代わられた時期もあったほどです。

さすがにせっけんでの歯磨きは長続きしませんでしたけどね。

日常生活で使うせっけんを日常生活の合間に仕込む。

いまはその当時ほどの過熱ぶりではないものの、自分のためのせっけんを作る生活を始めてかれこれ15〜16年ほどになります。

このコールドプロセスソープ、苛性ソーダという非常に強いアルカリ性の薬品を使います。

街の薬局で印鑑と身分証明書があれば誰でも購入できるものですが、取扱いには十分すぎるほどの注意が必要なため、「せっけんづくりには興味があるけど取扱いに不安を感じて断念してしまった」という人が多いようです。

でも、切れ味の鋭い包丁や煮えたぎった熱湯、自動車を扱うのと同じように、きちんとした管理と準備、正しい使い方さえ守ることができれば、自分のためのせっけんライフ、大げさでなくほんとうに世界が変わると思います。

世界が、そして世界を見る目も。

それにものすごく充実するんです、せっけんを作る生活って。

手に伝わってくる泡立て器の重さの変化、油脂の匂いや色の変化を感じながらただただひたすらに、ボウルの中のタネを攪拌するだけのマインドフルな時間。

断続的ないまをそれとして感じる時間。

自分でも作ってみたいけどちょっと二の足を踏んでいるというような方、お声かけくだされば、具体的になにができるのかはまだ分かりませんが、できる限りでサポートをしたいなと思っています。

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