先日の記事で「大人の場合はひとつの感情スイッチが入ったと同時に、自動的に別の感情が入りやすいので注意が必要」というようなことを書いたのですが、その件についてもうちょっと書きます。
まだお読みでない方はまずこちらの記事をぜひ。
https://pranaromana.jp/2018/08/29/1853/
そのうえでこの間、あるこどもたちと接していてちょっと感動することがあったのでまずはその話をシェアさせてください。
悲しさをあらわす
あるとき小学1年生のあやちゃん(仮)が、部屋の角に背中をあずけて座り込み、天井をあおいで声を上げて泣いていました。
まるでその姿は「泣いているこども」のお手本みたいに簡潔で、不謹慎ながら私はその潔い泣きっぷりに感心してしまいました。
隣に座って何があったか訊ねると、口元を大きく歪めたまま「みさきちゃん(仮)にさっきからずっと話しかけているのに、返事をしてくれない。これじゃまるで壁にむかってひとりで喋ってるみたいだ。悲しい。」というではないですか。
まだたった6歳だというのに、この状況説明と心情の説明のなんと簡潔でわかりやすいこと!
隣で見ていた別の子が「あやちゃんとみさきちゃんはちょっと前から喧嘩してるの」と補足情報をくれたおかげでさらに全体がわかりました。
仲直りをしたいあやちゃんと、一切の反応を拒んでいるみさきちゃん。
このアンバランスな関係性自体はもしかしたらよくあることかもしれないのですが、なにより私が「ううむ」と唸ってしまったのは、あやちゃんが自分の中の悲しいという気持ちを、自分でもちゃんと認識しながら第三者に表現してみせたことです。
実はこの反応はあやちゃんだけが特別なわけではないようです。
私が知る限り、これまでにも「謝っているのに許してもらえない」と泣きながら訴えてくる子たちは何人かいましたが、彼らの中にあるのは拒否をされるという悲しさと心細さの感情だけでした。
どう謝っても許してもらえないから万策尽きて大人の助けを借りたい、というところでしょうか。
あいつムカつく!こっちがこんなに謝ってんのに無視するなんて!(怒)
そんな風に別の感情にすり替えたりせず、涙を流して張り裂けんばかりの悲しさ・心細さを表現する姿を見て、これこそが感情武装を覚えてしまった大人に必要なインナーチャイルドワークそのものだ、と思いました。
私自身、過去を振り返っていまおもえば、あれは感情武装だったなーって思うことがあります。ほんとうは傷ついているのに、瞬間的に悲しさを怒りにすり替えて相手を責める、なじる、もしくは黙りこむ、みたいなことです。
でもきっと私も、あやちゃんくらいの頃は、素直な感情をまっすぐ表に出して、おいおいと声をあげて泣いていたはずです。
その素直さを一旦放棄したのはいつ頃なのか、大いに気になるところです・・・記憶にないのですよね。
放置してしまった過去の傷を癒す
ワークショップやメールレクチャーでは香りを使ったインナーチャイルドワークなどをご紹介していますが、癒すことなく置き去りにしてきた過去の悲しい子供は自分の内側にアクセスすることで、時間を遡って自分自身で癒すことができますことを、あらためてお伝えいたします。
ワークには実に様々な方法があるのですが、今日はこれまでにご紹介していない、絵を使ったとてもシンプルなワークをひとつ。
まず、誰にも邪魔されない静かで落ち着いた場所と時間を確保し、画用紙とペンと、できれば色鉛筆やクレヨンなど、色のついた筆記用具を準備します。
軽く目を閉じて深呼吸しながら、自分の内側の違和感のようなものを感じる場所はどこ?と自分自身に問いかけます。
この問いかけによって、背中がピリピリしたり、胸がつかえるような感覚があったり、喉の奥がつまるような感じがしたりするかもしれません。なにかしら感じることがあったら、その部分の感覚に集中しながら、それがどんなものか自由にのびのびと画用紙に描いてみます。
人の形をしているかもしれないし、ぐにゃぐにゃした意味のない模様のようなものかもしれませんが、それはあなたの中のものなので正解はありません。
自然に手が止まるまで思うように手を動かしたら、ここまででお絵描きタイムは終了です。内側を感じて画用紙に表現するだけでこのワークは成立するのですが、さらに続けられる人は、描いたばかりの絵を眺めながらその絵と「やりとり」をしてみましょう。
絵を描いている最中に浮かんできた言葉や印象、絵とのやりとりのなかで浮かんできた言葉やイメージは、今日の日付とともに絵の裏に書き込んでおきます。
その後も必要に応じて何度でもやってみてください。
このワークはひとりでももちろんできますが、信頼できる友人やパートナーに聴き手になってもらい、ペアで行うこともおすすめです。
過去のエネルギーを癒すことの意味
過去のエネルギーを癒すことのなにがいいかというと、自分の思考の癖や繰り返しのパターンを壊すことができるということです。
私たちの悩み事や心配事の多くは、過去の経験がもとになっているか未来のまだ起きていないことに対する不安のどちらかです。
なんども書いている通り、私たちの思考や感情は方向性を持ったエネルギーで、それらのエネルギーは私たちの いま に常に影響を与えています。
それは言い換えれば、いまわたしたちが何を考えてなにを感じているかが、そのまま現実に影響を与えているということです。
いつまでたっても望む未来は現実にならないし、そればかりか真逆のものばかりが引き寄せられてくるかもしれません。
人生を楽に思い通りに生きていきたいと願うなら、本来の自分のものでない思考や感情などのエネルギーは、執着せずに流してしまうに限ります。
しかし現在進行形の思考や感情について意識的になることはできても、過去から持ち越してきたエネルギーの影響は、それが堆積物として存在する限り、ずっとそこにあり続けます。
軽やかな光に溢れた人生を望むなら、過去を癒す方向へシフトしませんか。いつでも方向転換は可能です。
最後に
上記を踏まえたうえで、最後に自分自身をたいせつに扱うことの重要性をあらためてお伝えしたいと思います。
自分本来のものでないエネルギーをいつまでも持ち続けることは、自身のエネルギーを下げます。そればかりか、いつまでたってもいまの自分自身を肯定できません。
これは感覚的に理解する方にはよくおわかりいただけるかと思うのですが、過去の抑圧した思考や感情のエネルギーは、私たちの本質である愛の波動とは真逆のベクトルを持っています。
いのちはもともとからしっかりとそこにあるものですから、本質を見えなくしていたものが消え去れば、本来の姿が輝きとともに自然に立ち上がってきます。
自分をたいせつに、自分自身を愛するということに抵抗のある方は、まずはそうすると決めることから始めてみたらいかがでしょうか。
自分を愛するとはつまり、そのままの自分に寛ぎ安心することです。