香りを感じるにはいくつも方法があって、一般にアロマストーンとかアロマプレートと呼ばれる芳香補助器具を使うのもそのひとつです。
素焼きや石膏でできたアロマストーンは精油を吸収し、ゆっくりとその成分を揮発させながらほのかに香る特徴があります。
デュフューザーのように部屋全体に香りを広げるほどの拡散力はありませんが、その代わりにデスクの手元やベッドサイドなど、自分だけの小さなスペースで香りを味わうにはぴったりの素材です。
私たちが精油の香りを心地よいと感じるのは、ひとつの精油に含まれる複数の香りの成分が、何層にも折り重なるようにして私たちの鼻腔をくすぐるからです。
意識の中ではオレンジやラベンダーなどひとつのまとまった香りなわけですが、そのまとまった香りを構成するのは数え切れないほどの数(※)の香りの成分。
精油の小さなボトルの中には、それらの成分が構成するひろい宇宙が広がっているわけです。
(※):含まれる成分の数は一つの精油で抽出されるだけでも100種類を超えるとされ、ローズオットーなど300種類を超えるものもあるといわれています。
それぞれの成分(香り)はその性質によって届く速さや重さが異なるため、ひとつの精油であっても実に様々な側面をみせて複雑な芳香を織り成します。
最初に届くのは、アルコールやエステル類の軽くて爽やかな香り。香りの世界ではトップノートと呼ばれるものがこれにあたります。揮発が早いため最初に消えてしまう香りでもあります。
次にミドルノートと呼ばれる中間の香り。ここにはハーブやお花の精油が分類されることが多く、香りはトップノートより少し長持ちします。
そしていちばん重く、最後まで残るのがベースノートと呼ばれる重たい香り。樹木やお花の香りでも、特に甘みの強いものがここに分類されます。
この3つの香りの特徴は、精油ひとつひとつにバラバラにあてはまるし、同様にひとつの精油のなかにも見ることができます。
例えばご存知、ラベンダー。
ラベンダーの精油自体は中間のミドルノートと分類されることが一般的です。
しかしラベンダー精油そのものの中にもテルピネンなどの軽い香りが含まれますし、高山で栽培されるラベンダーハイアルティテュードは、害虫からその身を守る必要がないため甘くふくよかな成分を多く含み、ラベンダー類の中でももっとも重く芳醇な香りに分類されます。
なんだか「陽の中にも陰があり、陰の中にも陽がある」とする東洋医学の陰陽理論みたいですね。
で、話を戻しますと、この香りの移り変わりをゆったりとあるがままに時間をかけて味わことができるのが、水も電気も熱も使わないアロマストーンなわけです。
体温と混ざり合うこともしないので、精油本来のピュアなエネルギーをほぼ干渉なく味わうことができます。
現在このストーンとブレンドをセットにした香りのセットを企画中です。
準備ができ次第ご紹介予定です。