自分自身の
本当の姿を思い出す旅へ
メッセージ

恐れには立ち向かわない

先日、とても大きな外科手術を受けて療養したのち、少し前に社会復帰した友人がサロンに遊びにきてくれました。

すっかり元気になった姿を見せてくれて安心しました。

入院や手術でたいへんだなんだと騒ぐのは、本人よりまわりの人間の方だったりします。

おかしなもので、どんなに想像力を逞しくしても当事者にはなれないのに、自分のことじゃないからこそあれこれと気が先回りして、よけいな心配をするのでしょう。

でもこんなとき、当の本人はといえば、落ち着き払って余裕の笑みを浮かべていたりします。受け入れて身を委ねれば、おとずれるのは完璧な いま と、平和な静寂だけですもんね。

友人の話を聞きながら、自分が入院したときのことをぼんやりと思い出していました。

そしていまやっと気づいたことがあるので、今日はそのお話をシェアさせてくださいませ。

お手上げしてしまえば怖いものなし

細かなことはもうほとんど忘れてしまったけれど、はたから見たら「突然降りかかってきた不幸なできごと(もらい事故だったので何人もの人にそういわれました)」と入院生活を、私は終始、不謹慎なくらい生き生きと楽しんで過ごしました。

起き上がれるようになって車椅子の許可が出て、やがて車椅子も卒業して松葉杖でそのへんを闊歩できるようになってからは、同じ病棟に入院していたおじいさんに「あんた見てるとまるで飛んでるようだよ」と声をかけられたくらい。

でもなぜそんなに楽しかったんでしょうね。それは、不安や心配事を一切感じていなかったからだと思います。

治る見込みの知らされないケガのこと(以下注釈)、社会復帰のこと、仕事のこと、今後の生活やお金のこと、一般常識的には考えなくてはならないことが山積みなのに、そのときのわたしは不思議なくらい、なーんにも心配してませんでした。

注釈:
センセイは最後まで「治る」とは言いませんでした。
でもそのおかげで自分の身体に興味を持ち、心の動きに興味を持ち、それが私をこの世界に引き込むきっかけとなったのだから面白いものです。

こうして後付けにはなりますが、いまおもえば、あの常識的に考えたら異常に思える私の状態が、まさにサレンダー(お手上げ)していた状態だったんですね。自分の身に起こっていることそのまますべて、真正面から受け入れていました。

そしてそんな私の心も身体もがっちり、いまここ にしかありませんでした。

そもそも両手を上げて委ねてしまえば、いまここ 以外、どこにも行き場所がなくなります。

しかも笑っちゃうのが、寝返りさえも厳禁の絶対安静でベッドに仰向けで拘束されていたわけで、物理的にもここ以外どこにも行きようもないって、それはそれでよくできた話ですよね。

お手上げで思い出すのが、ある方からお聞きした強烈なイニシエーションのお話です。

恐れには立ち向かわないという極意

古代エジプトの神秘学派の教場では、否定的感情のひとつである「恐れ」の克服を重要視していたといいます。

学究たちは10年以上もの歳月を通じて、人間のありとあるゆる種類の恐怖に片っ端から対峙する訓練を積んだたといいますが、その成果を試す試験としてこんなものがあったそうです。

石で組んだ真っ暗な部屋に入ると床から徐々に水が満たされ、膝、胸、首へとみるみる水かさを増していきます。足をばたつかせながら顎をあげて、なんとか顔を水面から出して息をしますが水は天井に届くレベルにまで達し、やがて息ができる場所がどこにもなくなります。

しかし真っ暗なこの部屋には実はしかけがあって、恐怖心からもがき苦しむ代わりに全身の力を抜くことができると、わずかな水の流れが上部に開口部のある安全な場所に自然に運んでくれたのだそうです。

不安や恐れを克服しようとするのなら、戦おうとせず力を抜くこと

そんなことを、このお話をしてくださった方はおっしゃっていました。

ふむ。

私の体験談は結果を見たあとの後付けだし、このお話とは到底比較になるものでもありませんが、身近な例として楽しんでいただけたら幸いです。

いま辛い状況にいるあなたへ

身体に力がはいる、緊張するということはそこに抵抗があるからです。受け入れがたいとして必死に抵抗するマインドを降伏させるのは、容易でないこともわかっています。

そもそも苦しんだり考え抜いて克服したり、そしてそこに喜びを見出す、ということをしたくて私たちは肉体を持っていますので、エゴはそちらを選ぼうとしますしそれは当然だとも思います。

でももうどこにも解決策がない!逃げ場がない!と思うような時は、抗うのをやめて委ねる、という最終手段をぜひ覚えておいていただきたいのです。

葛藤を手放す勇気を振り絞っただけの体験が、必ず待っているはずです。

もちろんご自身の肉体や財産が奪われたり傷つけられたりする恐れのあるような時は、この限りではないです。一目散に逃げてください!
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