「宇宙ってどこにあるの?」
というのが、私が小学校低学年くらいの頃、ずーっと考えてた疑問でした。
そうするとたいてい「この地球を含むぜんぶだよ」という答えがかえってくるのですが、それをいわれるとますますわからなくなるのです。
だってじゃあ、宇宙をどかしたら何が残るの?
ここにあるコップをどかしたらテーブルが残るでしょう?
テーブルをどかしたらお部屋が残るでしょう?
お部屋をどかしたらおうちが残るでしょう?
ずーっとずーっとどかし続けて行って、宇宙をどかしたらなにが残るの?
そんな私に困った母が与えてくれたのが、かこさとしさんの「科学の絵本」でした。
なかでも、ぼくのいまいるところ と 宇宙 は、大のお気に入りになりましたが、それでも私の答えにはなりませんでした。
そのうち宇宙っていうのは「よのなか」のことなのかな、と思い始め、悩み始めて眠れなくなったりもしました。こどものくせに不眠症のハシリですよ、まあでもちっちゃな脳みそがキャパオーバーになって結局あっという間に眠るんですけどね。
やがて私はそのことを考えるのをやめてしまいました。
もしかしたら、今思えばだけど、どこをどう探してもないのなら、答えはそのときやっぱり自分で見つけるしかなかったのかもしれません。自分が納得できる自分の答えをね。
でもあの時代のあの年齢の私じゃ無理だったかな・・・
まあそれはさておき、「かこさとしの世界展 だるまちゃんもからすのパンやさんも大集合!」に行ってきました。
大大大好きだった 宇宙 の原画もありました。
もしかしたらほんとうの宇宙(私が信じる私の宇宙)は、加古せんせいが絵本で教えてくれた宇宙とはちょっと違うかもしれないけど、人類や地球やこどもたちに向けた加古さんの愛心、平和を祈りいのちを尊ぶ精神は、これからもずっとずっと、たいせつにしたいと思いました。
そして今回、会場にズラリと並べられた加古さんの過去の作品(あら、ダジャレみたい)を眺めながらあらためて感動したことがあります。
かこさとしといえば、緻密で暖かな優しい色使いの絵の方にばかり意識がいっていたけれど、その文章のなんて繊細で美しいこと!
おそらく推敲に推敲を重ねて作られているのだと思いますが、無駄なく洗練されていて、そして歌のようにリズミカル。
美しい詩を読むようでもあり、大人の私が読んでも、いや大人だからかな、思わず目頭が熱くなっちゃうようなフレーズもありました。
幼少期にあんなに素晴らしい絵本の数々を眺めて育てられたなんて、私ってほんとうに恵まれていたんだなあとしみじみ思いました。
最後に、前も載せたかもしれないけど。
この おおきな うちゅうは にんげんが はたらいたり かんがえたり たのしんだり するところです。
この ひろい うちゅうが あなたの かつやくするところです。
「かこさとしの世界展」興味のある方はぜひ行ってみてください。みどころたっぷりの大満足の展覧会でした。
2020年4月5日までやっているようです。